業務事業部のMです。
個人的な話で恐縮ですが、私は20年近く前からカヌーに乗ったりキャンプしたり登山したりのアウトドア活動を趣味としています。
ここ最近そういった活動で出かけると、人の数が多くなったなぁと実感します。
このアウトドアブームで「最近登山を始めたよ」という方も多いことでしょう。
安全の確保と自然環境の保全を心がけて楽しみたいものです。
さて、登山をする方々の会話で、
「途中までは晴れてたけど、上の方は雲がかかって景色ぜんぜん見れなかった」(①)
「山から下りてきて振りかえって見たら(山頂部分が)晴れてた」(②)
という”あるある”的な話をよく聞きます。
登山をしなくても、天気はいいのに山にだけ雲がかかっている(③)のを見たことがある方も多いでしょう。
こういう現象が起こるには、実はちゃんとした理由があるんです。
皆さんは、“湿り空気線図”というものをご存知でしょうか。
湿気を含んだ空気の、温度と湿度との関係を図で表したものです。
『湿気を含んだ空気がここまで冷えると水滴化する』
という現象を、この図から読み取ることが出来ます。
例えば、『気温25℃湿度80%の空気は、約21.2℃以下に冷やされると水滴化する』という現象がこの図に表されています。
札幌近郊の山に当てはめて考えてみましょう。
札幌市中心部から南~西方面を眺めてみると、標高1000m程度の山が続いていますね。(頂上エリアに電波塔があり判別しやすい手稲山は標高1023mです)
気温は、標高が100m上がる毎に約0.6℃下ります。
札幌の中心地は標高10~20m程度なので、手稲山と札幌中心地の標高差は約1000mです。
つまり山頂では天気予報で知らされる札幌地方の気温より約6℃低いことになります。
その日の札幌の気象状況が、仮に気温25℃湿度80%で北東の風であったなら、札幌市の湿った空気は北の風にのって手稲山スキー場の斜面を上がり、温度が約4度下がる標高600~700mあたりのところから雲が発生することになります。
このプロセスが、前出の①を示しているんです。
標高1023mの山頂では更に冷えるので、雲もより成長して密度を増し、ひょっとしたら雫となって落ちる”雨”になっているかもしれません。
また、湿り空気線図から『気温が高くなればなるほど空気中に含める水分量(湿気)は多くなる』ことが判ります。
山の上だろうがそれ以上だろうが、気温さえ十分に上がれば雲は再度空気中の湿気に変化し見えなくなるんです。
1日で最も気温が上がるのは14~15時頃ですが、多くの方が登山を終えられる頃ではないでしょうか。
これが②ですね。
湿気の高い平地の空気が風の力で気温の低い山にどんどん供給され、そのエリアに集中して雲が発生し続け、山向こうに流れていき風向きにより手前には来ない。
これが③です。
つまり、空気中の湿気が”水”(念のため言っておきますが、雲は気体では無く液体(霧状の水滴)です)として姿を現すのは、温度が下げられてしまうことが原因となります。
ご家庭で言えば、冬の室内。
洗濯が終わって部屋干しして、室内の気温は22℃湿度は70%とします。
窓に近づくにつれ温度が下がります。
窓のガラス面で16℃を下回れば、そこに”雲”ではなく”結露”が発生します。
山にかかる”雲”、窓に付く”結露”。
呼び名は違いますが、実は同じ種類の自然現象なのです。
山頂14時頃の例のように、窓面の温度を上げれば結露防止につながりますし、ご家庭ではそもそも湿気を出さないことが重要な結露対策になります。
【生活の工夫:室内で湿気が発生しないようにする】
・洗濯物は一度乾燥機に入れてから干す
・観葉植物を減らす
・浴室のドアを開けっぱなしにしない
・調理の際の十分な換気
【窓際の工夫:窓面の温度を出来る限り高くする】
・断熱性の高いサッシ+ガラスに交換する!!
窓面の温度を上げるには断熱性の良い窓に交換することがおすすめです。
当社で行う『高断熱の窓への交換工事』をぜひご検討ください。