業務事業部のHです。毎日冷えますね!
北海道ではあまり見かけませんが、関東生まれの私にはコタツが恋しい季節です。
知る人ぞ知るプリツカー建築賞
先日、北海道内初のこども図書館「こども本の森」が、北海道大学に造られることが発表されました。
建物の設計を手掛ける世界的建築家の安藤忠雄さんは、プリツカー賞を受賞したことでも有名です。
この「プリツカー賞」、実は建築界のノーベル賞とも言われる賞なのですが、毎年ニュースで大きく取り上げられるノーベル賞に比べると、ご存じの方は少ないかと思われます。
それもそのはず、受賞者の人数は、何と原則として1年に1人なのです!
この知られざる「プリツカー賞」、一体どのような賞なのか、簡単にまとめてみました!
人類や環境に貢献した人物に贈られる賞
プリツカー賞の正式名称は「プリツカー建築賞」で、アメリカの実業家ジェイ・プリツカー氏とその妻によって1979年に設立されました。
建築家に贈られる賞としては、英国のロイヤルゴールドメダルや、米国のアメリカ建築家協会ゴールドメダルに比べると歴史は浅いものの、世界的な建築家に贈られる、権威ある賞として知られています。
建築を通じて人類や環境に一貫した意義深い貢献をしてきた、存命の建築家に贈られる賞ですが、受賞者を眺めてみると、ある事実が分かります。
それはーー
実はすごい日本の建築家
国籍別に見てみると、日本人は8名と、何とアメリカ人に並ぶ最多受賞。
これまでに、丹下 健三さん、槇 文彦さん、安藤 忠雄さん、妹島 和世さん、西沢 立衛さん、伊東 豊雄さん、坂 茂さん、磯崎 新さんの8名が受賞してきました。
冒頭で述べた「こども本の森」を手掛ける安藤さんは、打ち放しコンクリートと自然の息吹を融合させた建築家として有名で、大阪府の「光の教会(茨木春日丘教会)」、星野リゾートトマムの「水の教会」や滝野霊園の「頭大仏」の設計者でもあります。
コンクリートという人工建材でありながら、スリットから差し込む自然の光や雄大な自然の背景を見事に取り込んだ建築物を見ていると、安藤さんがプリツカー賞を贈られた理由が分かる気がしますね。
「光の教会」©Wikipedia
建築を通して社会に貢献してきた世界の建築家
2022年には、西アフリカ・ブルキナファソ出身のディエベド・フランシス・ケレ氏がプリツカー建築賞を受賞。
彼が最初に手がけたのは、故郷ガンド村に初めて建てられた小学校でした。
「ガンド小学校」©courtesy Francis Kere/Pritzker Architecture Prize
ガンド小学校を始めとするケレ氏の手掛けた建築の数々は、その土地で産出した素材を主な建材としながら、土地の気候に合わせた工夫が成され、地域コミュニティ活性化の基盤となっていきました。
「地域社会とともに、地域社会のために泉をつくり、必要なニーズを満たし、社会的不公平を是正する」
そんな理念を持つケレ氏が、建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞を受賞したのです。
また、2023年受賞者のロンドン出身デイヴィッド・チッパーフィールド氏は、一時の流行に囚われず、その土地の自然環境や都市の歴史に根差した設計をすることで、時の変遷に耐える持続可能な建物を生み出してきました。
日本でも兵庫県の猪名川霊園など、都市の文化に調和した建築を手掛けています。
「猪名川霊園」©Keiko Sasaoka
持続可能な社会と建築
こうしてみると、プリツカー賞がどのような建築家に贈られる賞なのか、少し解った気がしませんか?
私達人類は、自分達が暮らす家を建てるために木を伐り、森を拓いてきました。
プリツカー賞は、改めて人類と自然の共存について考えさせてくれる賞なのかもしれませんね。